滋賀県東近江市にある松尾医院のブログ

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ヒトの病気とペットの病気の意外な共通点 シリーズ

私たちが日々接している犬や猫、そして鳥やウサギなどの小さな動物たち。

種は違っても、「身体のしくみ」や「病気の起こり方」には驚くほどの共通点があります。

近年では、ヒト医療と動物医療の研究成果を相互に活かす「ワンヘルス」という考え方が注目され、ヒトと動物の健康は切り離せない存在になりつつあります。

今回は日常で耳にする身近な病気が実はペットにも起こるという視点から、代表的な例をシリーズでご紹介します。

 

 

その1【糖尿病 ― 食生活・肥満が影響するのは同じ】

 

糖尿病はヒトだけの病気と思われがちですが、実は犬や猫にもよくみられます。

特に猫はヒトの2型糖尿病とよく似ており、肥満・運動不足・食生活の乱れがリスクになります。

 

猫:多飲多尿  、体重減少  、食欲が増える/逆に減る  、足の力が入りづらくなる後肢の神経障害になることがある

 

犬:多飲多尿  、食べているのに痩せてくる  、元気がない  、白内障の発症(犬では非常に多い)

 

ヒトでは:のどの渇き、尿が増える、だるさ、体重の変化、視力の低下など。

 

食事管理や体重コントロールが重要で、「生活習慣病」である点は私たちと同じです。

 

                          文責:獣医師 髙木彩花

2025年12月5日

「冬のお風呂」の危険性について

<「冬のお風呂」の危険性について>
厚生労働省人口動態統計(令和5 年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水により亡くなられた方は6,541 人となり、交通事故死亡者数2,116 人のおよそ3 倍だそうです。
なぜ、冬のお風呂場は危険性が高くなるのか。今回はその危険性と対策をお伝えします。
【危険性】
ヒートショック(急な温度差による血圧の急激な変化)
暖かい部屋から冷え込んだ脱衣所、浴室に移動すると血管が縮こまり血圧が一気に上昇します。その後、浴槽に入り体が温まると血管が広がり、急上昇した血圧が下がります。この急激な血圧の変化により、一時的に脳内に血液が回らない貧血の状態になり一過性の意識障害を起こすことがあります。
【対策】
① 入浴前に脱衣所や浴室を温めておく
➡脱衣所には電気ストーブ等の暖房機器を設置するなど、温度差を無くすことが大切です。ただし、暖房機器に衣類やタオルが直に触れると出火の原因になるため注意が必要です。
② 湯温は41 度以下、お湯につかる時間は10 分まで
➡ヒートショックを防ぐのは39 度以上42 度未満が望ましいです。⾧時間の入浴は過度な体温上昇による「湯疲れ」を生じるため、入浴は10 分を目安にしましょう。
③ 入浴のタイミングを意識する
➡高齢者は特に食後に消化管に血液が多く流れるため、食後に血圧が低くなることがあります。食後直ぐの入浴は避ける、食事前に入浴する等がおすすめです。
また、飲酒後も血管が拡張し、血圧が下がった状態で入浴すると、さらに血圧が低下するため、飲酒後の入浴も避けましょう。
④ 入浴時はかけ湯をしてから、出浴時はゆっくり立ち上がる
➡入浴時は浴槽に入る前に、かけ湯をすることで皮膚刺激を少なくして血圧上昇を少なくすることができます。出浴時は急に立ち上がると起立性低血圧を起こし、立ち眩みすることがあるため、ゆっくり立ち上がりましょう。
浴室に手摺があると転倒予防にもなり尚良いですね。
⑤ 声かけ
➡同居する家族がいる場合は、入浴前に声掛けをしましょう。入浴時間を事前に伝える等し、⾧時間浴室から出てこない場合は直ぐに駆け付けましょう。

 

文責:宅地建物取引主任・管理業務主任・マンション管理士・賃貸経営管理士 早崎玲奈

2025年12月4日

人と動物に関わりの深いズーノーシス

私たちの暮らしの中で、動物は大切な家族であり、心を癒やしてくれる存在です。しかしその一方で、動物から人へ、または人から動物へ感染する病気――「ズーノーシス(人獣共通感染症)」という問題も、私たちが知っておくべき大切なテーマです。

ズーノーシスにはさまざまな種類があり、身近なペットや野生動物から感染することもあります。たとえば、犬や猫の口の中にいるパスツレラ菌は、咬まれた傷口から感染して腫れや痛み、発熱を起こすことがあります。
また、同じく犬や猫の唾液に含まれるカプノサイトファーガ菌は、まれに敗血症や意識障害を引き起こすこともあり、免疫の弱い方では重症化することがあります。
鳥類から感染するオウム病は、感染した鳥の糞や分泌物を吸い込むことで感染し、高熱や咳、肺炎様症状を起こします。妊婦が感染すると流産や早産のリスクが高まるため、鳥の飼育やケージ掃除はできるだけ他の家族に任せ、どうしても行う場合はマスクと手袋を使用し、十分な換気と手洗いを行いましょう。
さらに、マダニを介して感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、発熱、嘔吐、出血傾向などを示し、重篤化することがあるため注意が必要です。

これらの多くは、日常の中で少し意識をするだけで予防が可能です。動物に咬まれたり引っかかれたりした際はすぐに流水でよく洗い、必要に応じて医療機関を受診しましょう。ペットの定期的な健康診断やワクチン、ノミ・マダニ予防も、家族全員の健康を守る大切な一歩です。特に高齢者や小さな子ども、免疫の弱い方、妊婦の方は注意が必要です。

感染症を恐れる必要はありません。大切なのは、「正しく知り、正しくつきあう」ことです。ペットを清潔に保ち、トイレや食器の管理を適切に行い、手洗いを習慣にすることで、ほとんどの感染症は防ぐことができます。

動物と人との関わりは、お互いの心と体の健康を支え合う関係です。ズーノーシスを理解し、予防を実践することは、人と動物が安心して共に生きる社会を築く第一歩となります。

文責:獣医師 髙木彩花

2025年10月30日

住環境と健康

<住環境と健康>
住環境と人の健康には大きな繋がりがあります。特に高齢者にとっては、住環境が整っていないとケガや病気のリスクが上がることが考えられます。今回は、住環境がどのように人々の健康に繋がりがあるのか具体的な例を挙げてご紹介します。
① 転倒リスク
室内には高齢者が転倒しケガをする危険が潜んでいます。高齢者の転倒が多い場所は、ベッドサイド、浴室、トイレ、玄関です。また、足腰が弱い人や身体が不自由になると、ちょっとした敷居の段差でも躓きや転倒するリスクが高まります。
【対策】
1. 各部屋の敷居を低くしたり、スロープを取り付けて段差を解消する。
2. 手摺を設置して、転倒防止をする。
3. 滑りにくい床材へ変更する。
② 温熱、空気環境
室内温度、湿度はもちろん、化学物質やハウスダストによる空気環境等は全世代の健康に大きく関わります。
【対策】
1. 快適な温熱環境を意識しましょう。
室内温度:冬場で20~23℃、夏場で26~28℃
湿度:40~60%
特に、冬場の浴室やトイレ等、室内間の温度差によって起こるヒートショックや夏場の熱中症被害には注意が必要です。
2.室内の空気汚染は、呼吸器系の病気の原因となることがあります。具体的な空気
汚染の原因となるのは、ホコリ、カビ、ペットの抜け毛、化学物質(マニキュ
ア、消臭剤、接着剤等)、タバコが挙げられます。室内のアレルゲンを掃除等で取り除くことが重要ポイントとなります。掃除の他には、定期的な換気や空気清浄機の使用により、ほこりや花粉等のアレルゲンを除去することが出来ます。また、湿気の多い場所はカビの発生しやすくなるため、除湿とカビ対策が必要となります。

 

文責:宅地建物取引主任・管理業務主任・マンション管理士・賃貸経営管理士 早崎玲奈

 

2025年10月22日

食事療法

食事療法は生活習慣病の予防・改善の基本

食事療法

2024年5月30日