食事療法は生活習慣病の予防・改善の基本
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食事療法は生活習慣病の予防・改善の基本
睡眠中に無呼吸が繰り返される病気で、体に様々な障害を起こします。
我が国では約200万人が症状のあるSASに罹患しているとされます。肥満傾向の40~60歳の男性に多く、女性では閉経後に増加するという報告もあります。
喉の辺りの空気の通り道が閉塞することが原因で、その原因となるのは、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、舌根沈下、舌が大きい(巨舌症)ことがあります。鼻中隔弯曲では、鼻の空気の通りが閉塞しているSASの原因になることがあります。顎が小さいため、やせているのにSASである方もおられます。
いびき、睡眠の途中で目が覚めてしまうことや、日中の眠気、起床時の頭痛、などがあります。昼間の眠気は、居眠り運転事故や労働災害などにつながり、社会的にも悪影響を及ぼします。
問診などで、SASが疑われる場合、簡易睡眠検査、ポリソムノグラフィーという入院して行われる精密検査に進みます。ポリソムノグラフィーから得られた無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)から、AHIが1時間当たり5回以上で、前述の症状がある場合にSASと診断されます。AHIが5~15回は軽症、15~30回は中等症、30回以上は重症とされます。
経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive airway Pressure:CPAP)があります。マスクを介して空気を送り気道を広げる治療法で、中等症以上(AHIが20回以上)のSASで保険適用です。軽症のSASには歯科に依頼してマウスピース療法が行われます。手術療法はSASの責任部位が明確な場合に適応され、小児でのSASは大半は扁桃肥大が原因で、扁桃摘出術が有効です。成人の場合は、責任部位が明確でないことが多く、手術療法は慎重な判断が必要です。
治療を効果的に行うためにも生活習慣の改善に心がけましょう。肥満の方は体重を減らしたり、晩酌をされる方は量を減らすことで、無呼吸が軽減する場合があります。
SASでは血中の酸素不足により心臓や肺に負担が掛かり、脳梗塞、心筋梗塞やその他の合併症などを引き起こす危険性が高まります。AHIが20回以上の場合、診断後に5年間生存する患者さんの割合は84%(死亡率は16%)、8年間ではさらに下がって60%という報告があります。
スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎がひどい方へ
スギ花粉症は国民の約3分の1が発症しており、国民病となっております。2014年10月に発売されたスギ花粉症の舌下免疫療法は根本的な治療として期待されており、内服薬やレーザー治療などの今までさまざまな治療を行ってきた患者さまに関しても有効率70%と結果がでており、内服薬などの減量中止も期待できます。(鼻アレルギー診療ガイドライン2013年版)。また2015年12月より新たにダニによるアレルギー性鼻炎の免疫療法が可能となりました。治療に関して健康保険の適用がありますが、処方は認定された医師のみしか出来ません。当院では両者の処方が可能ですので、まずは受診して医師と相談ください。
実際の舌下免疫療法について
舌下免疫療法とはスギ花粉エキス(シダトレン)やダニの抗原(ミティキュア)を少しずつ体内に吸収させることによって花粉症の症状(アレルギー反応)を抑える治療法です。実際には1日1回、少量から服用(舌の下に含みます)をはじめ、2週間は徐々に増量し、その後は決まった量を数年にわたり継続して服用します。初回服用はアレルギー反応の有無を見るために院内で行います(スギ花粉治療薬のシダトレンは花粉非飛散時期の6月から11月末の間に投与します)。2日目以降は毎日自宅で服用します。継続的に治療を行うことで効果を発揮していくため、花粉飛散シーズン以外も服用し、最低2年間治療を行い、効果は判定します。効果のある患者さまには3~5年の治療継続をお勧めしております。通院間隔は症状などが安定していれば4週間に1度程度となります。
治療費用について
治療費用については、健康保険の診療が可能です。初回は検査などを含めて3割負担の場合、4,000~5,000円で、その後の定期的な通院の費用は他の治療や薬の処方がない場合には、病院の治療費と薬局での薬代と合わせて1ヵ月あたり2,000~3,000円の負担となります。
どのような人が治療可能ですか?
日本では12歳以上の患者さまが治療可能です。もちろんスギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎の患者さまにしか投与できないため、まず血液検査でスギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎であることを調べる必要があります。ただし重度の気管支喘息の方、がんや免疫系の病気がある方などは治療はできません。さらに詳しい内容については医師でお尋ねください。
副作用について
口の中に投与するため、口の中や喉のかゆみがでることがあります。報告されている主な副作用に以上のような局所的なかゆみですが、非常に稀ですが、アナフィラキシーショック(じんましんや腹痛、嘔吐、呼吸困難、意識混濁)があります。そのため1回目の投与は安全のために院内で行います。
さらに詳しく知りたい方へ
詳しくは鳥居薬品アレルゲン免疫療法専門サイトをご覧ください
http://www.torii-alg.jp/
多くの患者さんを診察していて、特に感じる事は、『生活習慣病のコントロール』と『年一回の健診』の重要性です。
40歳以上の方で命に関わる病気の約70%は、血管系疾患と悪性腫瘍(癌)です。
まず、血管系疾患は、心筋梗塞や脳梗塞に代表されますが、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)が起因して、全身の動脈硬化が年齢以上に進行し、その結果心臓や脳の細い動脈が詰まり易くなり、命に関わることになります。これらの疾患は、一旦血管が詰まり組織が死んでしまうとその部位は回復しないため、命が助かっても運動制限や麻痺を生じるなど不自由な事になります。血管を詰まらせないためにも、日々の血圧やコレステロール値、血糖値のコントロールが非常に大切なのです。
一方、癌はなかなか予防できません。がんを予防できるなど誇張されている健康補助食品などがありますが、明らかな予防効果は期待できません。ただし、早期癌であれば内視鏡的な治療や手術、抗がん剤、放射線治療などにより治る確率が高くなりますので、少しでも体調の異変を自覚されましたら早めの診察を受けることが大変重要です。
「ふらつくとか胸が苦しいなどの症状がないから大丈夫」、「うちは癌家系ではないので心配ない」との意見がありますが、症状が出現してからでは、かなり進行していることが多いです。症状がなくても毎年一回は健診や検査を積極的に受けるようにして下さい。
当クリニックでは、胃カメラ、超音波検査(腹部・頸部動脈・甲状腺・乳腺など)、血管年齢検査、検査センターとの連携で尿・便・血液・痰などから癌の早期発見・動脈硬化の評価・かくれ脳梗塞の診断に取り組んでおります。