滋賀県東近江市にある松尾医院のブログ

愛知県尾張旭市にある、内科、循環器科、小児科、皮膚科のクリニックです


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睡眠時無呼吸症候群(SAS)

 日中に急に眠くなると来院される患者さんがおられます。車の運転中に眠くなる、信号待ちで寝てしまうという方もあり非常に危険です。(運転中に、万が一小学生の列にでも突っ込んでしまったら取り返しのつかないことになります。)
 このような急な眠気の原因は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」であるかもしれません。(実際に検査してみるとSASと判明し、治療で日中の眠気が改善されています。)
​当院では自宅で検査できる検査器具を貸し出しますので、検査入院は不要です。SASかなと思われたら、お気軽に来院ください。

​以下にSASについて簡単に説明します。


【概要】

 睡眠中に無呼吸が繰り返される病気で、体に様々な障害を起こします。
 

【疫学】

 我が国では約200万人が症状のあるSASに罹患しているとされます。肥満傾向の40~60歳の男性に多く、女性では閉経後に増加するという報告もあります。
 

【原因】

 喉の辺りの空気の通り道が閉塞することが原因で、その原因となるのは、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、舌根沈下、舌が大きい(巨舌症)ことがあります。鼻中隔弯曲では、鼻の空気の通りが閉塞しているSASの原因になることがあります。顎が小さいため、やせているのにSASである方もおられます。
 

【症状】

 いびき、睡眠の途中で目が覚めてしまうことや、日中の眠気、起床時の頭痛、などがあります。昼間の眠気は、居眠り運転事故や労働災害などにつながり、社会的にも悪影響を及ぼします。
 

【診断】

 問診などで、SASが疑われる場合、簡易睡眠検査、ポリソムノグラフィーという入院して行われる精密検査に進みます。ポリソムノグラフィーから得られた無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)から、AHIが1時間当たり5回以上で、前述の症状がある場合にSASと診断されます。AHIが5~15回は軽症、15~30回は中等症、30回以上は重症とされます。
 

【治療】

 経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive airway Pressure:CPAP)があります。マスクを介して空気を送り気道を広げる治療法で、中等症以上(AHIが20回以上)のSASで保険適用です。軽症のSASには歯科に依頼してマウスピース療法が行われます。手術療法はSASの責任部位が明確な場合に適応され、小児でのSASは大半は扁桃肥大が原因で、扁桃摘出術が有効です。成人の場合は、責任部位が明確でないことが多く、手術療法は慎重な判断が必要です。
 

【生活上の注意】

 治療を効果的に行うためにも生活習慣の改善に心がけましょう。肥満の方は体重を減らしたり、晩酌をされる方は量を減らすことで、無呼吸が軽減する場合があります。
 

【予後】

 SASでは血中の酸素不足により心臓や肺に負担が掛かり、脳梗塞、心筋梗塞やその他の合併症などを引き起こす危険性が高まります。AHIが20回以上の場合、診断後に5年間生存する患者さんの割合は84%(死亡率は16%)、8年間ではさらに下がって60%という報告があります。

 

2016年9月15日